家族会は、身内に犯罪や非行があった方が自由に話をする場です。毎回、親、配偶者、きょうだい、こどもといった本人との関係はさまざまな方が参加されます。会では参加者が輪になり、それぞれがそれぞれの体験や思いを話します。誰かが話したことに他の誰も意見もアドバイスもしません。もちろん批判もしません。ただ話す、ただ聴く、それだけが繰り返される時間です。
大事なのは話したいことを口にできることです。聴いてもらえる、受け止めてもらえることです。身内が犯罪や非行をしたということで責任を感じることもあるでしょう。本人を責めたくなる気持ち、あるいは不憫に思う気持ちもあるでしょう。また、家族自身が置かれた状況もつらさもあるでしょう。もしかしたら、それでも「他の人に迷惑をかけたのだから」と、さまざまな気持ちにフタをしていることもあるかと想像します。しかし、それでは誰もが立ち止まったままになってしまうのでは、と思うところがあります。事件を起こした本人も、被害者も、そして、家族の皆さん自身も。
 思いは封じないでほしいと思います(もちろん話せない、話さない気持ちは尊重します)。話すことで整理されることがあるかと思います。同じような立場にある人たちに聞かせてほしいと思います。きっと他の方にヒントを授けることになるかと思います。
同じような立場の人の話を聞いてほしいと思います。事情はそれぞれ異なっても何かのヒントを得られるかもしれません。
家族会は、参加者が静かに話すだけ、聴くだけの会です。しかしそこには、互いに助け助けられる関係を感じられるものが毎回生まれています。自分一人ではないことが実感できます。これまでとは異なる何かを得られるかもしれません。
(文責 坂野)